Powder Coating 粉体塗装

粉体塗装の塗装工程

粉体塗料工程

1. 前処理

塗装の密着性を向上させるため、油成分を除去するアルカリ脱脂工程、次に錆を落とす酸洗工程を行います。被塗物表面の不純物が除去されたところで、最終工程として化成処理を行います。化成処理工程では、防錆性が高く緻密な皮膜を形成するリン酸亜鉛皮膜が塗料との密着性を向上させます。

2. 水切り乾燥

化成処理後の被塗物表面は水洗工程により濡れた状態になります。このまま粉体塗装を行うと被塗物と塗膜の界面に水分が残り、塗装後に発生する不良のひとつであるブリスターの現象が起きてしまいます。そのため塗装前に水分を除去することが重要となります。本工程で被塗物の水分を完全に除去します。

3. 粉体塗装

粉末状の塗料をエアーによりガン先から吐出させ塗装する手法になります。吐出する粉体ガン内にある電極へ電圧を印加するコロナ式粉体塗装、粉体塗料がガン内を通過する際の摩擦により静電気を発生させるトリボ式粉体塗装があります。1回の塗装で溶剤塗装の2~3倍の塗装膜厚を得ることが出来ます。

4. 焼付乾燥

粉体塗装後の乾燥は、溶剤と比較し180~200度と高い温度で乾燥を行います。また乾燥時間で重要となるのは、雰囲気温度ではなく被塗物の温度を規定時間昇温させる必要があることです。このため温度が上がり難い被塗物に関しては、乾燥時間を長くする等の微調整が必要になります。

5. 検査

乾燥が完了した被塗物は、出荷前に規定の膜厚、光沢であるか検査を行います。また外観に関しても表面の平滑性、異物の付着、塗り残し等、問題がないか検査を行います。 全ての検査を合格した製品のみ、梱包後にお客様へ納品されます。

粉体塗料での2つの塗装方法

コロナ帯電式静電粉体塗装

  • Sprint X

  • Super Pulse Power

  • OptiFlex 2

コロナ帯電式静電粉体塗装機器は、各メーカで改良が進められており、様々な特徴があります。ヒバラコーポレーションでは、各メーカの粉体塗装機器を取り揃えて条件出しを行い、各機種毎に粉体塗装のレシピを登録し、製品形状や塗装膜厚に応じた条件で作業を行います。これにより常に最適な条件で粉体塗装を行うことでき、結果的に品質の安定化が図れています。

塗着原理としてはワークを接地電位とし、粉体ガン先にある電極に高電圧を印加させると粉体ガン先端部とワーク間にコロナ放電によるイオン化空気層が出来ます。粉体ガンから噴射された粉体粒子は、イオン空気層に入ると帯電して粉体ガンとワーク間の電界作用と空気の流れによって、ワーク表面に塗着されます。

コロナ放電し帯電した粉体粒子は、電界作用と空気の流れによりワーク表面に塗着するが、凹部には電界作用で発生する電気力線が侵入出来ない(ファラデーケージ効果)ため、粉体塗料が付き難くなります。また、凹部に塗装しようと吹き続けた場合、エッジ効果や静電反発により塗膜外観不良が発生します。

コロナ帯電式静電粉体塗装の短所と長所

長所
  • 高塗着効率
  • 構造が簡単:メンテナンス容易
短所
  • ファラデーケージ効果⇒ 貫入性が悪い、エッジ部厚膜
  • フリーイオンによる逆電離⇒ 肌荒れ:静電反発、厚膜不可

摩擦(トリボ)帯電式静電粉体塗装

トリボ帯電式粉体塗装ガンは、粉体塗料をエアで輸送する際の摩擦により帯電させる方式のため、ガンのストロークが長いのが特徴です。また使用する粉体塗料も、摩擦により帯電し易くする必要があり、樹脂が限定されることがあります。各メーカでガンの形状は異なりますが、コロナ帯電式ない複数の吹き出し口を持つフィンガータイプの塗装ガンも市場では多く使用されております。

塗着原理としてはワークを接地電位とし、粉体塗料をエアで輸送する際にガン内壁の絶縁体(テフロン等)と粉体塗料の摩擦で帯電させてワーク表面に塗着させます。コロナ放電方式とは異なり高電圧発生装置等が不要で、ファラデーケージも生じず平滑な塗装が行えます。その反面帯電量は塗料に依存し、湿度が高いと帯電量が減少し膜厚が減少する等のデメリットもあります。

摩擦(トリボ)帯電式静電粉体塗装の短所と長所

長所
  • ファラデーケージの影響なし
  • フリーイオンが生じない:静電反発が起き難い
  • 空気中のゴミを帯電させない
  • 高電圧発生装置・ケーブル不要
短所
  • 塗料選択性がある(帯電性)(特にハイブリッド・アクリル)
  • 帯電量が湿度に左右され易い
  • メンテナンス費用・工数がかかる

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