Solventless Coating 溶剤塗装

溶剤塗装

溶剤塗装とは?

溶剤塗装はもっともオーソドックスな塗装方法です。シンナーなどの有機溶剤に塗料を混ぜて溶かし、主にスプレーを使って被塗物に塗布。その後、自然乾燥もしくは焼き付けることによって塗膜を形成させ、被塗物をコーティングします。溶剤塗装には長い歴史があるため、蓄積されたデータも膨大であることから、信頼性という点ではこれ以上のものはありません。 溶剤塗装は種類が豊富に存在することから、非常に広範囲の被塗物に対応できるという特徴があります。また被塗物によって自然乾燥・焼き付けを選択できたり、粉体など他の塗装方法と組み合わせることも可能。色も豊富で、さまざまな模様に適用できるというメリットもあります。さらに低コストを実現しやすく、比較的納期も短いため、最も利用しやすい塗装方法と評価することもできるでしょう。 ちなみに、溶剤塗装は近年の塗装方法と異なり、溶剤塗装の出来栄えが職人の腕に左右されるという一面もあります。溶剤塗装をご希望の方は、経験豊富な職人を抱える企業を選ぶようにしましょう。

溶剤塗装の5つの特徴

1.豊富な塗料に支えられた最高の対応力

溶剤塗装の最大の特徴は、種類が豊富にあるという点です。そのため、多種多様な被塗物に対応でき、また被塗物に合わせて塗装方法を選択したり、他の塗料と組み合わせて利用することもできることから、その可能性は無限にあるといっても過言ではありません。長い歴史に支えられた対応力こそ、溶剤塗装の魅力なのです。

2.無数な色彩・メタリック・模様にも対応可能

溶剤塗料は原色が豊富にあるため、あらゆる色の表現を可能としています。また、メタリックや模様にも対応できるため、お客様の様々なご要望を叶えることができます。他の塗装方法では、色のパターンをあまり多く用意できないため、色彩の表現は溶剤塗装の大きな強みといえるでしょう。

3.圧倒的な低コストを実現

工業塗装では、調色の際に一定量の塗料を作らなければならなかったり、固定されたラインでの製造を余儀なくされるため、小ロットでの生産は割高になります。しかし溶剤塗装の場合、使用量に応じた塗料だけを用意することができるため、小ロットでも比較的低コストで塗装できるというメリットがあります。

4.最短3営業日で納品可能

粉体塗装に比べると、溶剤塗装は塗料の調色にかかる工程がかなり少ないため、作業期間が短く、納期を短縮することができます。ヒバラコーポレーションの場合、最短3営業日以内に製品をお届けすることが可能です。

5.経験豊富な職人による無限の業

完全な自動操作が主体となる他の塗装方法と異なり、昔ながらの溶剤塗装の出来栄えは、職人の腕前に大きく左右されます。ヒバラコーポレーションには塗装40年の歴史があり、ベテラン職人の技術は同業他社が参考に訪れるほど。こだわりある塗装をご希望される方にピッタリのご提案と技術をお約束します。

溶剤塗装の適応素材

塗料 適応素材
アクリル樹脂系塗料 SPHC,SPCC,SECC,SUS,AL,他金属
メラミン樹脂系塗料
フッ素樹脂系塗料
エポキシ樹脂系塗料
ウレタン樹脂系塗料
ラッカー、ビニル樹脂系塗料

ただし、上記一覧表はあくまで一般的な参考データであり、実際は素材や塗料により様々な組み合わせが考えられます。ご希望の製品における最善の塗装プランを知りたい方は、まずはお気軽にご相談ください。

溶剤塗装の長所と短所

長所
  • 塗料のラインナップが多く、短納期での対応が可能
  • 原色を準備することで、多彩な調色が可能
  • 塗膜の平滑性(表面のなめらかさ)がよい
短所
  • 有機溶剤を有しているため保護具が必要となる
  • 局所排気設備等、作業環境管理が必要となる
  • 気温・湿度により、塗料粘度の調整が難しい

焼付塗装と自然乾燥について

焼付塗料、焼付塗装とは?

焼付塗料・焼付塗装とは、スプレー塗装後に乾燥炉で乾燥させる必要がある塗料・塗装工程になります。工業塗装製品で多く使用されている溶剤塗料ではメラミン(アミノアルキド)樹脂があり熱硬化型塗料になります。塗膜の硬化形態としては、アルキド樹脂とメラミン樹脂の縮合反応で樹脂同士を架橋させ硬質な塗膜を形成します。また粉体塗料・粉体塗装においても、熱溶融により塗膜が形成されるため、焼付塗料、焼付塗装の分野に入ります。

最近でも「焼付塗装出来ますか?」とお客様から問合せを頂きますが、焼付塗装は作業工程として乾燥工程[焼付乾燥炉]が必須になります。そのため塗装対象品のサイズよりも、更に大きい乾燥設備が必要になります。ヒバラコーポレーションでは大型の乾燥設備を保有しておりますので、是非焼付塗装が必要な場合はお問合せ下さい。

自然乾燥、常温乾燥とは?

自然乾燥・常温乾燥とは、乾燥炉で熱を加えなくても常温で塗膜が形成される塗料になります。そのため、乾燥設備が無くても塗装でき、比較的大きなワークや既設品の塗替え作業で使用されます。塗膜の硬化形態としては、塗料に含まれる溶剤が揮発して塗膜を形成する一液型タイプ、硬化剤を添加してイソシアネートの反応により塗膜を形成する2液型タイプ等があります。

自然乾燥・常温乾燥は、気温や湿度で乾燥時間が変わりますので、作業工数が保管環境で変わってきます。そのため自然乾燥、常温乾燥塗料でも強制的に乾燥炉で乾燥させ、焼付塗料同様に作業時間の短縮を図る場合もあります。但し、強制乾燥を行うと塗膜中の溶剤が急激に揮発することにより、ピンホールやワキ等の塗装不良が発生するため、セッティング時間、乾燥温度、乾燥時間等の調整を必要とします。ヒバラコーポレーションでは、気温や湿度に応じた乾燥時間もデータ化しておりますので、自然乾燥、常温乾燥、及び強制乾燥の何れの手法でも対応させて頂いております。

溶剤塗装工程

1. 塗料調合

使用する塗料の主剤と硬化剤を規定の比率で混合して攪拌します。その後、溶剤を投入して塗料の粘度を調整します。塗料粘度が低過ぎると艶引け、高過ぎるとユズ肌等の塗装不良が発生するため、慎重に作業を行います。

2. 塗料粘度測定

調合が完了した塗料の粘度をNKフォードカップを用いて測定します。測定方法はカップに入れた塗料が全て流れ落ちるまでの時間を確認します。ヒバラコーポレーションでは、温度・湿度に応じた塗料粘度のデータを蓄積しているため、バラツキのない安定した塗料配合により品質を維持しています。

3. 刷毛塗り

ワーク形状により、スプレー塗装では影になってしまい、どうしても塗装出来ない部分が出てしまいます。その部分に関しては、事前に刷毛塗り塗装を行います。この手間をかけることで、スプレー塗装した後でも全体的に綺麗な仕上がりになります。

4. スプレー塗装

最適な粘度に調合した塗料でスプレー塗装を行います。基本的には塗り斑が出ないように縦横2回塗りします。塗装の仕上がりにおいて、スプレーガン距離、塗料吐出量、パターン幅、送りスピード等、様々なパラメータが塗装品質を左右します。熟練者のノウハウが生かされる作業といえます。

5. 乾燥処理

塗装完了後自然乾燥、又は強制乾燥を行います。乾燥工程により樹脂が結合し塗膜が形成されます。強制乾燥の場合、塗膜に熱をかけることで溶剤が急激に蒸発し、塗膜にピンホール等の不具合が発生してしまうため、乾燥前にセッティング時間を設けるか、段階的に加温する等の調整を行います。

溶剤コーティングに関するよくある質問

Q塗料メーカが指定されていますが入手可能ですか??
A国内塗料メーカ、海外塗料メーカ共に入手可能です。
Q既設品と色合わせして塗装してほしいのですが・・・
A見本板を準備頂ければ、既設品と同じ色に調色して塗装致します。
Qメタリック、レザートーン等の模様塗装は対応出来ますか?
A対応可能です。見本板を確認させて頂き、それに応じた模様塗装を行います。
Q支給した塗料で塗装してほしいのですが・・・
Aはい、対応可能です。塗料混合比等を確認し塗装致します。
Q下塗り塗装はどんな樹脂を使用すればよいのでしょうか?
A素材により異なりますがエポキシ樹脂、アルキド樹脂等を推奨致します。
Qジンクリッチペイントという塗装は可能ですか?
Aはい、対応可能です。ジンクリッチは亜鉛末を添加する重防食塗装になります。

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